南鳥島の紹介
上空から見た南鳥島
南鳥島(marcus Island)の概要
太平洋に浮かぶ南鳥島
南鳥島は南鳥島は東経153.97、北緯24.30度にある、珊瑚礁でできた小さな島です。
写真のように三角形の形をした島で、一辺の長さが1.7kmくらいです。
足場の悪い海岸を歩いても一周するのに3時間もかかりません。
この島は富士山の頂上が海上に顔を出しているような島になっています。
そのため、標高も海抜10mくらいと低く、海岸から50mくらい進むと急に深くなり外洋(太平洋の真ん中)になります。
写真に映っている、島の中心にある鉄塔はロランというもの電波塔です。
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千葉まで・・・
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南鳥島の歴史
南鳥島は20万年くらいに隆起して出来たものです。
太平洋プレートのホットスポットからできたと言われています。
南鳥島は1543年にスペイン人によって発見されたと伝えられており、
1860年にアメリカの宣教師によってマーカス島(Marcus Island)と名づけられました。
その後、1898年に東京府小笠原支庁に編入したときに南鳥島と命名されます。
1902年にアメリカが領有を試みましたが、最終的には和解して日本の領土となりました。
当時の南鳥島は羽毛と燐鉱石の採取をしていたようですが、
取り尽くした後は1935年の海軍気象観測所の開設まで無人島になります。
その後は第2次世界大戦の流れで海軍が配備されていきます。
太平洋戦争中ではアメリカ軍からの空襲を受け、その時の不発弾が今日でも発見されることがあります。
戦争終結後はアメリカ軍によって占領され、正式軍政下に入りますが、
1968年に返還されて東京都小笠原村に属しました。
近年ではアメリカ軍が撤退して気象庁・海上自衛隊・海上保安庁が南鳥島で勤務しています。
しかし、2006年の台風12号で島全体に大きな被害を受け、少しずつ復旧しながらの勤務となっています。
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気象庁舎屋上からの東海岸
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日本一早い朝日
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南国の島での環境
南鳥島は年間を通して暖かく、冬場で20℃くらい、夏場で30℃くらいです。
しかし本土に比べると南にあるために日差しが強く、冬場でも1時間も外にいれば日焼けをします。
気候も南国に似ており、シトシト雨はほとんどなく、東南アジアのようなスコールが多いです。
風も弱いときは2mくらいですが、強いときは15m以上になることもあります。
植物も広葉樹が多く、ヤシやバナナ・パパイヤの木があります。
また、アメリカ軍がいたときに防風林として植林された針葉樹林も生えています。
生物は基本的には島に昔からいた生物と持ち込まれた生物が存在します。
それ以外でも風に乗って移動してきたかもしれないトンボも見かけられます(ただし根拠はありません)。
他にもヤモリなども良く見かけます。
また、この島ではアホウドリやメジロ、アジサシと言った鳥も見受けられます。
島近くの海では様々な魚も見ることが出来ます。
浅いところではウツボやウミヘビなどもいるようです。
また、ヤドカリや小さなカニ、サザエや五色海老(伊勢海老の仲間)もいるようです。
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パパイヤ(南鳥島産)
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アホウドリ
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島での生活
南鳥島は気象庁職員の他に、海上自衛隊職員や海上保安庁職員、建設業者の方がいます。
気象庁職員は観測を仕事とし、海上保安庁や海上自衛隊も各々の部署の仕事に従事しています。
また、各部署の方との交流もあって、余暇の時間でソフトボール大会も行われたりしています。
仕事以外はとてもノンビリした時間を過ごすことになります。
本土から遠く離れた場所にあるので、新聞や雑誌は新しくても1週間前くらいのものになります。
インターネットは衛星電話回線を通してのみしか使うことができません。
このような環境のため、島にいる人はほとんど情報を仕入れることが出来ない状態にあります。
島にいる間は、余暇の時間をどのようにするかを考えます。
余暇の過ごし方として、島を散歩するということはひとつの手段です。
散歩していると日本軍の施設跡(トーチカ)を見つけられます。
島内のあらゆるところに存在するため、これを探して中を探検したりする人もいます。
また、明け方や夕方になると綺麗な景色を楽しむことが出来ます。
運がよければ太陽が出る直前または沈んだ直後に
グリーンフラッシュ
を見ることも出来るようです。
晴れた夜であれば満天の星空も見ることが出来ます。
南鳥島は北緯24くらいのため、沖縄の波照間島と同様に南十字星を見ることも出来ます。
最後に、南鳥島は太平洋の真ん中にあるような島なので、海釣りも楽しめます。
うまくやればマグロも釣ることもあります。(滞在中に40kgのマグロを釣ってきた人がいました。)
釣った魚は調理の人に頼んで調理してもらい、皆で美味しくいただきます。
無人島の交通網
南鳥島はアスファルトのような道路は一部しか存在しません。
徒歩や自転車で移動する他はバギーやトラックといったものになります。
また、飛行機が来るときには滑走路周辺は立ち入り禁止になるため、時間には気をつける必要があります。
本土から南鳥島へ行くためには基本的に厚木基地から飛行機に乗ることになります。
飛行機は主に航空自衛隊のC-130、海上保安庁のYS-11になります。
また、状況によってはC-1も来ます。船はタンカーや補給船が来ます。
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航空自衛隊 C-130 (イラク使用)
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燃料輸送のタンカー (補給中)
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食糧・物資の様子
島内の物資は飛行機や船によって運ばれてきます。
飛行機や補給船が来たときは関係者が、タンカーが来たときは島の人総出で輸送します。
飛行機から来た物資は飛行機に下ろしてからトラックに積み、保管場所まで運びます。
また、タンカーが来たときは燃料用のパイプ(フローティングホース)の準備やタンカーの係船作業、
タンクの燃料補給作業を3日に分けて行います(まとめて楊油作業と言っています)。
楊油作業は島の全員で担当に分かれて作業を行います。
海上の作業として、小型の船でフローティングホースを誘導するロープの運搬や
タンカーに乗り込んで陸上との連絡(どちらも海上自衛隊の人が担当)があります。
一方、陸上での作業は燃料輸送時におけるパイプラインの点検や、
ウェットスーツを着てフローティングホースを陸上から海まで運搬する、といった具合に分かれます。
補給が終わった後は、タンカーからフローティングホースを外して陸上まで引っ張るのですが、
持ち上がらないくらいに重くなります(燃料がフローティングホース内に入るため)。
そのため、楊油作業が終わった頃にはほぼ全員がヘトヘトな状態です。
飛行機は現在は2週間に1度くらい、タンカーや補給船は年2回のペースで来ています。(2008年3月当時)
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フローティングホース輸送中
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フローティングホース回収中(?)
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南鳥島における気象庁の仕事
南鳥島における気象庁の仕事は、高層気象観測と大気バックグラウンド観測になります。
高層気象観測は最大で高度約35kmまでの大気の観測を行います。
高層気象観測で観測する気象要素は、気温・湿度・風向・風速となっています。
南鳥島では高層気象観測を行うため、GPSゾンデを使って観測しています。
高層気象観測は1日に8時半と20時半に行っています。
そのため、時間になるとGPSゾンデをつけた観測用気球が空に向かって飛んできます。
大気バックグラウンドとは、人為的・自然的な影響を受けない場所での大気のことを言います。
この観測を行うことで、地球規模の大気環境の実態を把握し変化を早期に検出するとともに、
予測情報を様々な利用者に提供することを目的としています。
そのため、大気バックグラウンドの観測は温室効果ガスやエーロゾルなどの濃度を観測しています。
大気バックグラウンド観測はWMO(世界気象機構)で人間の生活の影響がない場所で観測を行うように
定められており、南鳥島が観測場所として選ばれました。
南鳥島では地上オゾンやCO、CH4など
温室効果のある気体や降下塵の観測などを行っています。
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高層気象観測 方球前の様子
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降下塵の採取
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