「知的障害」 基礎情報と相談窓口

もくじ

知的障害とは

知的障害とは、知的能力の発達が同年代の人に比べて低い水準にあり、生活に支障が生じている状態です。

医学的な診断基準

医学的には、次の3つが揃っていることが「診断基準」となります。
1)専門的な検査で測る知的機能が一定の水準を下回っている(目安としてIQ70未満)
2)年齢に応じた生活能力が十分ではなく、家庭や学校で不適応が続いている
3)そうした問題が18歳未満の発達期に生じている

知能指数と日常生活能力は、必ずしも一致しません。個人差も大きく、本人に合った療育を受けることで自立した生活や就労が可能になる人もいますし、日常生活に継続的な見守り・声かけ・支援が必要な人など、さまざまです。
また自閉スペクトラム症やてんかんなど他の障害をあわせ持っていることもあり、それぞれの特性を踏まえた対応が必要になります。

知的障害があると判定された場合には、自治体が発行している「療育手帳」を取得することで、福祉サービスが受けやすくなります。いま全国で、療育手帳を持っている人は109万4000人(※)います。(※令和4年版「障害者白書」より)

よくある困りごと

知的障害のある人たちにとって、「よくある困りごと」は次の4つです。
・お金の管理
・難しい内容の理解
・状況や気持ちを伝える
・気持ちの切り替えや、気持ちを落ち着かせる

コミュニケーションのポイント

知的障害のある人とその家族を支援する「全国手をつなぐ育成会連合会」事務局長の又村あおいさんは、知的障害のある人とコミュニケーションをとるときの大切なポイントが4つあるといいます。

①わかりやすい表現
②シンプル
③短い文章
④ゆっくり話す

こうした4つのポイントを押さえるのは、言葉でしゃべるときだけでなく、文章で伝えるときも大事です。伝えたい内容や本質は変えず、本当に大事なものだけを残して、それ以外をそぎ落としていくイメージです。

また、漢字にルビをふっただけでは、読むことはできても、理解することは難しい場合もあります。まずは分かりやすい文章にして、その文章にルビをふる、ということを意識すると良いそうです。

ルビをふっただけでは、読むことはできても、理解することは難しい場合もあります。まずは分かりやすい文章にして、その文章にルビをふる、ということを意識すると良いそうです。

相談窓口・支援団体※NHKサイトを離れます

障害や暮らしについての相談窓口
福祉事務所

社会生活や家庭生活で困っている、福祉サービスを利用したい、施設に入所したいなど、障害のある人のさまざまな相談に応じています。

知的障害者更生相談所

医師、保健師、心理判定員、ケースワーカーによる専門的な相談、指導、判定を行っています。(「心身障害者福祉センター」「障害者更生相談センター」など、名称は地域によって異なります)

知的障害者相談員

日常生活などの身近な相談に応じています。また、施設入所、就学や就職などについて、関係機関との連絡も行っています。相談員の連絡先は、お住まいの市区町村の担当窓口(障害福祉課など)にお問い合わせください。

知的障害がある子どもについての相談窓口
保健所・保健センター

乳幼児の健康や育児、体の発育や心の発達についての相談に応じています。

児童相談所

身体の障害や知的発達の遅れなど、子どもに関しての様々な相談に応じています。

市区町村の相談窓口

各市区町村の役所に「児童福祉課」「子育て相談課」などの担当部署があります(名称は自治体によって異なります)。子育ての悩みや育児相談などに応じてくれます。
自治体によって、「子ども家庭支援センター」「家庭児童相談室」などを設置しているところもあります。

児童発達支援センター

障害のある子どもを対象に、日常生活や集団生活への適応のための訓練を行う通所施設です。お近くのセンターの所在地などは、お住まいの市区町村の担当窓口(障害福祉課など)にお問い合わせ下さい。

生活を支援する制度・サービス
療育手帳(障害者手帳)

知的障害のある人が取得することによって、福祉サービスや各種料金の割引、優遇措置などが受けられる手帳です。教育や就労の面でも支援を受けやすくなります。

療育手帳は、国ではなく自治体ごとに制度が定められているため、受けられるサービスや判定基準・区分などが地域によって異なります。名称も「愛の手帳」「みどりの手帳」など、さまざまです。詳しくはお住まいの市区町村の担当窓口(障害福祉課など)にお問い合わせください。

障害福祉サービス

障害者総合支援法に基づいて、ホームヘルプ(自宅での入浴・排泄・食事などの介護、料理・洗濯・掃除などの家事援助)、行動援護(外出時の介護や危険回避)、ショートステイ(施設への短期入所)、施設入所支援(施設に入所する障害者への介護)など、さまざまな福祉サービスが利用できます。

利用にあたっては、障害福祉サービスの利用申請を行い、訪問調査を経て認定を受けることが必要です。お住まいの市区町村の担当窓口(障害福祉課など)か、委託を受けた指定相談支援事業所で申請します。

※他にも、金銭管理に関すること、日常生活用具の給付など、さまざまな福祉制度・サービスがあり、自治体によっては独自の取り組みを行っているところもあります。お住まいの市区町村の担当窓口や、利用している福祉施設のソーシャルワーカーに相談してみましょう。

働くことに関する相談窓口・支援機関
ハローワーク

障害者の職業相談部門を設置し、専門職員や職業相談員が、職業相談や紹介、就業指導などを行っています。

地域障害者職業センター

専門の障害者職業カウンセラーを配置して、職業相談・評価、専門的な職業リハビリテーションプログラム、就労準備支援、職場適応支援などを行っています。また、事業主に対する障害者の雇用管理に関する相談・援助、地域の関係機関に対する助言・援助なども実施しています。

障害者就業・生活支援センター

障害者の就業と、これに伴う日常生活・社会生活上の相談・支援を一体的に行っています。
※全国の障害者就業・生活支援センターの一覧は、以下のホームページに掲載されています。

就労移行支援事業

一般企業等での就労を希望する人に、一定期間、就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練や支援を行います。 利用の手続きやお近くの事業所については、お住まいの市区町村の担当窓口にお問い合わせください。

地域活動支援センター

創作的活動や生産活動の機会の提供、社会との交流等を行います。利用の手続きやお近くのセンターについては、お住まいの市区町村の担当窓口にお問い合わせください。

支援団体・ネットワークなど
全国手をつなぐ育成会連合会

1952年に設立された精神薄弱児育成会(手をつなぐ親の会)を原点とする、知的障害者の権利擁護と政策提言を行うための全国組織。全国各地の「手をつなぐ育成会」の連合体です。

社会福祉法人 全国重症心身障害児(者)を守る会

1966年に社会福祉法人を取得、幼児から成人にいたるまでの一貫した重症心身障害に関する情報提供や、療育相談事業を実施しています。全国各地に支部があります。

一般社団法人 スローコミュニケーション

知的障害のある人や情報理解に難しさを抱える人たちに向けて、情報をわかりやすく届けるサポートをしています。
企業や行政に情報発信のあり方をアドバイスしたり、文書や資料をわかりやすくしたりする活動を行っています。
また、団体のホームページでは、知的障害のある人に向けて、「わかりやすいニュース」を掲載しています。

(民間の支援団体等については、番組の取材先を中心に掲載しています)

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コンテンツ