連日のように報じられている高齢ドライバーによる悲惨な死傷事故。どの都道府県でも、認知機能や判断力の衰えを感じている人は自らの意思で速やかに運転免許証を返納するように、と強く呼び掛けられている。しかし車のある生活は便利なだけに、呼びかけだけでは高齢者の心を動かすことは難しい。返納すれば公共交通機関の料金割引サービスを提供するという東京ほか、多くの都道府県が現在「その代わりに」と言えるようなサービス内容を検討中であるが、特に注目されているのは愛知県である。海外メディアも大きく取り上げる愛知県の取り組みとは?

高齢ドライバーによる交通事故を1件でも減らしたい。そんな思いから愛知県では県警主導のもと、運転免許証を返納した高齢者のために様々な割引やサービスが用意されている。愛知県警のHPで詳しい内容を確認できるが、スーパーマーケット、飲食店、テーマパーク、公衆浴場、理美容店から冠婚葬祭センターまで提携先は実に多岐に及ぶ。手に汗握りながら高速道路を運転するより、お得感たっぷりの生活をエンジョイしてほしい―多くの企業が高齢者に対してそう願って賛同しているのであろう。

仕組みは簡単。運転免許証を返納すると代わりに『運転経歴証明書』が発行され、それを提示して飲食代10%引き、銭湯100円引き、タクシー10%引きといったサービスをたっぷりと利用して欲しいとしている。その甲斐あって、愛知県ではなんと10月末までに12,000名の高齢ドライバーが免許証を返納したといい、さっそく英米の複数のメディアがこぞってこの話題を紹介。今後も世界からその取り組みに注目が集まりそうだ。

また道路交通法の改正により、全国的には来年3月から75歳以上の高齢ドライバーの認知機能や判断能力を調べる検査が強化され、認知症が疑われた場合は医師の診断を義務づけられる。近年、死亡事故全体に対して75歳以上のドライバーが起こした事故の割合が非常に高まっており、その約4割において認知機能や判断力の衰えが検査で確認されていることが原因である。

愛知県警HP:https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/koureisha/sup-index.html

出典:www.independent.co.uk https://www.pref.aichi.jp
(TechinsightJapan編集部 Joy横手)