• 2022年4月6日
  • 2024年4月16日

【面接対策】看護観の作り方と例文集

 

「看護観はどうやって考えればいいの?」
「看護観を面接でうまく伝えるコツは?」

看護師の採用面接で聞かれたり、看護学生のレポートのテーマになったりすることも多い「看護観」。
「そもそも看護観って何?」「看護観は本当に必要なの?」と疑問に思ったり、「自分の看護観を考えるのが難しい・・・」と悩んだりする人は少なくありません。

でも、看護師として仕事をしていくうえで、自分自身の看護観をもつことはとても大切。
看護観は、自分が患者さんに対してどう看護するかを決める指針(コンパス)になるからです。

こんにちは、ナースプラス編集部の吉田です。

看護観は実際の看護に反映されるもの。
だから「面接でうまく答えることさえできればOK」ではなく、看護の仕事をするなら、ずっと考え続ける必要があるんですね。

そこで今回、ご自身の看護観を考えるヒントにしていただくために、現役看護師4名のリアルな看護観を多数紹介。
また、看護観の基礎知識や、面接やレポートでしっかりと伝わる看護観の作り方も解説します。

普段の仕事にも役立つ内容なので、ぜひ参考にしてくださいね。

看護観とは

まずは、そもそも看護観とはどんなものなのかを解説していきます。
自分の看護観を考えるためには、看護観についてしっかりと理解することが重要なので、ぜひチェックしてくださいね。

看護観とは「自分はどんな看護師でありたいか」を表すもの

看護観とは、看護の仕事に対する自分の姿勢を言葉にしたものです。
もっとカンタンに言うと「自分はどんな看護師でありたいか」を表すもの。
「自分の理想の看護師像」「看護師としてのモットー」と言い換えてもよいでしょう。

看護師イメージ

ただし、看護師は患者さんの看護をおこなう仕事なので、看護観は必ず「患者さん目線」でなければなりません。

たとえば、以下について考えることは「患者さんからどのように思われるか」という目線も含まれていますが、自分自身の看護観を考えることとイコールです。

1.どんな看護師でありたいか
2.将来どんな看護師になりたいか
3.看護師として何を大切にしたいか
4.患者さんにどんな看護をおこないたいか
5.患者さんにどう思ってもらいたいか

あなたもきっと、これらについて一度は考えたことがあるはず。
こうした考えを面接でどうやって伝えたらよいのかは、また後ほど解説しますね。

看護観は人それぞれ異なる

看護観は、その人が仕事や勉強を通じて積み重ねてきた経験や知識、もともとの人生観によって作り上げられる、その人独自の考え方です。
そのため、看護観は人それぞれ異なり、どんな看護師にも共通する「正解」はありません。

看護観は人ぞれぞれ異なる

たまに「看護師としてあるべき姿」といった一般論を看護観だと思っている方がいますが、一般論には自分自身の考えが含まれていないので、看護観として不十分と言えるでしょう。
面接でも「当たり障りのないことを言っていて、考えが浅い」と判断されてしまう可能性があります。

また、看護観はその人の置かれている立場や状況によって変わることがあります。
同じ人が同じ看護観をずっともち続けるのではなく、経験を積むことによって、変化したり深まったりしていくものなのです。

看護の経験が深まることで、「看護師としてこうありたい」という自分の軸もだんだん明確になり、看護観が確固としたものになっていくのですね。

経験値が少ない学生や新人ナースの頃は、看護観を具体的に描けないのは仕方ありません。

しかし、看護の経験を積んだり、先輩の意見を参考にしたりしながら、自分なりの看護観を育てていきましょう。

ちなみに、「マイナビ看護師」が「どのように看護観を構築しましたか?」とアンケートで質問したところ、以下のような結果となりました。

どのように看護観を構築しましたか?

自分一人で考えたという人が多いですが、上司や先輩、同僚などを参考にした人も少なくありません。
看護観に悩んだら、周りの人の働き方に目を向けてみるのもオススメです。

現役看護師の看護観の例文集

ここからは、現役看護師4名の方に寄せていただいた看護観を紹介します。

なお、看護観は自分自身の経験をもとに、自分の言葉で説明するべきものです。
そのため、こちらに掲載する例文をそのまま使用するのはくれぐれもお控えください。
あくまでも、参考にするのにとどめてくださいね。

つねに「相手にとって」を主語に関わり続ける

勤務科:訪問看護
性別:男性
年齢:31歳

私の看護観は、”滅私”という言葉に尽きます。

看護をしていると「自分がこうしたい」「自分はこうしたほうがいいと思う」と、主語がいつの間にか「自分」になってしまい、自分の主観や価値観が強く入ってしまうことがあります。
そうなると、相手を尊重した関わりをしているつもりでいながら、実は独り善がりの看護をしてしまっていることがあります。
そうならないために、自分の価値観をいったん脇に置き、「相手にとって」をつねに主語にしながら看護師として関わり続けることが、看護では重要であると感じています。

私がこの看護観をもつようになったきっかけは、私の新人の頃の経験です。
私が新人の頃に関わらせていただいた方に、必要と思われるケアを望まれない方がいました。
何日もお風呂に入れていないけれども、清潔ケアを望んでいらっしゃいません。
また、体力が落ちてトイレに行くのもやっとの状態であるにもかかわらず、ポータブルトイレや尿器の利用、リハビリパンツの着用を提案しても希望されませんでした。
そのことで非常にモヤモヤしていて、先輩に相談をしたときに、「誰のための看護をしているの?」と問いかけられ、ハッとさせられました。

私はこのとき、主語が「自分」になっていて、相手にとってどうなのかという視点が欠けていることに気づかされました。
この経験をして以来、私は看護をするときには必ず、自分の価値観はいったん脇に置き、つねに「相手にとって」を主語に関わり続ける”滅私”を心がけるようにしています。

チームダイナミクスを活用し、患者さんのQOLに貢献する

勤務科:ICU
性別:男性
年齢:33歳

私の看護観は多様性です。
看護師はもっとも患者さんに近い職業だと思います。
また同時に、多くの医療者とも近い職業です。
看護師は患者と医療者間で行われる、ケア、治療、コミュニケーションがより円滑に進むようにマネジメントすることが求められます。
それぞれの多様性を活かし、チームダイナミクスを活用し、患者さんのQOLに貢献することが私の看護観です。

私が以前勤めていた職場で、下肢の入院で長期入院されている方がいました。
入院前はADLが自立していましたが、術後合併症などの影響でADL・認知機能がかなり低下していました。
手術前の待機入院の間は医療者によく笑顔で挨拶をしていただき、皆さんから好感を持たれる方でした。

入院前の様子に戻っていただきたいと思い、看護師、リハビリスタッフ、医師と相談し退院までのプランを検討しました。
当初は医療者間で意見が合わない点もありました。
なかなか意見が定まらないなか、看護師側からの提案でカンファレンスに患者さま本人にも参加していただきました。
ケアされる本人が企画段階から参加することで、ご本人の個別性に合った計画を、医療者と患者さまと全員で決めることができました。

結果、患者さまは以前のような様子に戻られ、また患者さまの笑顔をみることができました。

多くの方の意見を反映して、計画を立てることは非常に大変な作業です。
しかし、一方で多様性を受け止め、患者さまを含めてそれぞれの意見を反映することで、良いケアができると経験できました。

これらの経験から、私はチームダイナミクスを活かした「多様性」を最も大切にしています。

患者さんをそのまま受け入れ、傾聴する

勤務科:訪問看護
性別:女性
年齢:31歳

そのままの患者さんを受け入れ、ゆっくりと話を聴ける看護師である。
これが私の看護観です。

病棟で働いているときは、忙しさを理由に「ちょっと待ってね」「今はできません」「もう!動かないで!」と、こちらの状況を押し付けてきました。
しかし、私の中で違和感があり、ずっとモヤモヤしたり、申し訳なさがあったりしました。

そんなときに老健でヘルプで勤務することになりました。
そこでの利用者さんとの関わりがとても自分に合っていて、認知症があって何度も同じ話をする方がいても、ゆっくり話を聴ける環境が欲しかったんだと気付きました。

「看護師は病棟で働いていないといけない!」という方もいますが、自分の働きやすい、自分に合った環境で働いてもいいんじゃないかなと思います。

患児とご家族の今ある気持ちや感情に向き合う

勤務科:小児集中治療室
性別:男性
年齢:31歳

私の看護観は「その時その時の気持ち、感情を大事にして寄り添う」です。

これまで、小児集中治療室で多くの患児とご家族の看取りに寄り添ってきました。
誰も未来と命の長さを見通すことができないなかで、看護師ができることは患児とご家族の今ある気持ちや感情に向き合うことだと思います。

看護師にとっても、未来を見通せないことや、大丈夫と言ってあげられないことはつらいことです。
しかし、患児とご家族の今ある気持ちや感情に向き合うことはできます。
自分には何もしてあげられないと考えてしまうことも多いと思いますが、実は単純に気持ちを共有するということが一番大事な看護なのではないかなと思っています。

伴走は患者の立場に立つ、寄り添うということにも繋がると思います。


ひと言で看護観と言っても、勤務科や年齢などによってさまざまな考えがあることが分かります。
皆さん、これまでの経験を棚卸しながら、ご自身の看護観を深めているんですね。

看護観はなぜ必要?

続いて、看護師にとって看護観がなぜ必要なのかを解説していきます。

看護観は実際の看護に反映される

看護観が必要な理由はシンプルです。
それは「あなたの看護観が、実際の看護に反映されるから」です。

看護師さんが看護している様子

たとえば「患者さんの気持ちの変化をキャッチして寄り添う」という看護観をもっていれば、患者さんの気持ちを理解できるように、患者さんの言動をよく観察したり、積極的にコミュニケーションを取ろうとしたりするはず。

逆に自分の看護観があやふやだと、どんな看護を提供したいのかが定まっていないため、その場しのぎの看護になり、患者さんにも負担をかけてしまう可能性があります。

つまり、自分自身の看護観をもつことが、よい看護にもつながるのです。

ちなみに、「マイナビ看護師」がおこなったアンケートでは、約60%の人が「自分の看護観をもつのは大切だと思う」と回答しました。

あなたにとって看護観の大切さは?

ところで、看護観が必要なのは実務の場面だけではありません。
次で解説しますね。

採用面接でも看護観が聞かれる

看護観は、看護師の採用面接や看護学校のレポートなどで聞かれることが多いテーマです。
なぜかというと、先ほどもお伝えしたとおり、看護観は実際にあなたが行う看護業務に反映されるから。
病院や学校はあなたに看護観を聞くことで、「病院の理念とあなたの看護観がマッチしているか」「どのように患者さんに接するのか」といったことを知りたいのです。

そのため、ありきたりな言葉ではなく、自分自身で考えた言葉で看護観を説明できる必要があります。

ちなみに、看護観を尋ねる質問には、いくつかのパターンがあります。
「あなたの看護観を教えてください」とダイレクトに質問されなくても、以下のような質問はすべて看護観について聞かれていると覚えておいてください。

1.看護師としてどんな看護をしたいですか?
2.あなたが看護をするうえで大切にしていることはなんですか?
3.将来どんな看護師になりたいですか?
4.あなたにとって患者さんに寄り添うとはどういうことですか?
5.温かい看護とはどんなものですか?

では、実際に面接やレポートではどんな看護観を答えたらよいのか、ご説明しましょう。

面接で伝わる看護観の作り方

ここでは、面接やレポートで伝わる看護観の作り方を解説します。

何度もお伝えしているとおり、看護観は「自分はどんな看護をしたいのか」を表すもの。
そのため、自らの経験や考えをもとに、自分の言葉で伝えられるようになる必要があります。

面接イメージ

自分の考えを整理するのは面倒だと思うかもしれませんが、だからといってネットから探してきた例文や、どんな看護師にでも当てはまるような一般論をそのまま述べてはいけません。

そうした言葉は自分の考えを深掘りできていないので、一貫性のない浅い内容になりがち。
そのため、面接でもあなたの魅力がうまく伝わらず、たとえ採用されてもミスマッチが起こってしまう可能性もあるんです。

でも、ご安心ください。
面接で納得してもらえるような看護観を考えるのは、以下のステップを順に踏めば決して難しくありません。

看護観を作る4つのステップ

【ステップ1】印象的なエピソードと、そのときの自分の行動の「動機」を振り返る
【ステップ2】患者さん目線になっているかどうかをチェックする
【ステップ3】PREP法で看護観を組み立てる
【ステップ4】志望先の理念とすり合わせる

一つずつ解説していきますね。

【ステップ1】印象的なエピソードと、そのときの自分の行動の「動機」を振り返る

説得力のある看護観をいきなり考えようとしても難しいので、具体的なエピソードを振り返るところからスタートしましょう。
なぜなら、「自分はどんな看護をしたいのか」という考えは、実際の看護に自然と表れるものだからです。

看護師さんが看護しているイメージ

まずは、職場や実習先でとくに印象に残っている経験や学びを書き出してみてください。
こうした経験や学びについて「なぜその行動を取ったのか?」を、以下のように自分に問いかけてみましょう。

1.なぜ自分は患者さんにそのように看護したのか?
2.なぜ自分は患者さんの家族にそのように接したのか?
3.なぜ自分は他の看護師さんやお医者さんとそのように関わったのか?
4.(もし学生の場合)どうして自分は●●のような看護師に看護してもらいたいのか?

「なぜ?」と問うと行動の動機が明らかになり、自分が大切にしたいことや実現したいことが浮かび上がります。
それが、あなたの看護観です。

以下はエピソードと問いかけの例です。

印象的なエピソード
ある患者さんが診察前に不安そうな顔をされていたので、「大丈夫ですからね」と言いながら背中をさすってあげた。
すると、「ありがとう、少し気持ちが楽になりました」と喜んでくださった。

問いかけ
なぜ自分は患者さんにそのように看護したのか?

答え(行動の動機)
患者さんの不安を少しでも取り除いてあげたかったから

行動の動機から導き出した看護観
患者さんの不安を少しでも取り除き、前向きに治療に取り組んでもらう

【ステップ2】患者さん目線になっているかどうかをチェックする

看護師は患者さんを看護することが第一の目的。
そのため、看護観も患者さんを中心にして、患者さんにとって幸せかどうかを最優先にしなければなりません。

ですから、【ステップ1】で導き出した看護観が、患者さん目線になっているかどうかをチェックしましょう。

自分がよかれと思っていても、患者さんがそれを求めていないこともあるので要注意なんです。

たとえば、「患者さんに笑顔で接する」という看護観は、「患者さんの笑顔を引き出す」に言い換えたほうがよいでしょう。
なぜなら、患者さんは看護師の笑顔を見たいとは限らないからです。
「自分がどうしたいのか」ではなく「患者さんにどうなってほしいのか」を考えるようにしましょう。

【ステップ3】PREP法で看護観を組み立てる

【ステップ2】までで患者さん目線の看護観が作れたら、次はそれを人に分かりやすく伝えるために、PREP法で文章を組み立ててみましょう。

PREP法とは、「Point(結論)」「Reason(理由)」「Example(実例・具体例)」「Point(結論の繰り返し)」の順で物事を説明する方法です。

PREP法

PREP法を意識することで、具体的なエピソードを交えながら論理的に看護観を述べられるようになります。
すると、面接であなたの人となりも伝わりやすくなるのです。
以下の順序で、自分の看護観やエピソードを組み立てましょう。

PREP法による看護観

1.Point(結論)
自分の看護観

2.Reason(理由)
その看護観をもつ理由

3.Example(実例・具体例)
その看護観をもつきっかけとなったエピソードや、その看護観看護観を大切にしていることが伝わるエピソードなど

4.Point(結論の繰り返し)
その看護観を志望先でどのように活かしたいのか、その看護観をどのように深めていきたいのかなど、将来の展望

「4.Point(結論の繰り返し)」では、「1.Point(結論)」の内容をただ繰り返すのではなく、自分の看護観を活かしながら、どう働きたいのかをアピールするとよいでしょう。

志望先の理念とすり合わせる

面接で看護観を聞かれたら、要点が伝わりやすく、説得力のあるPREP法を用いて答えるのがオススメです。
しかし、どの志望先でも同じ内容を答えればいいわけではありません。

病院・施設ごとに理念が異なるので、それとすり合わせて表現を変える必要があります。
なぜなら、病院・施設側はあなたの看護観と病院の理念がマッチしているか、そして、これまでの経験を活かしてもらえるかどうかを知りたいからです。

打合せをする看護師さん

もちろん志望先に合わせて看護観自体を変える必要はありませんが、志望先の理念と自分の看護観が共通するポイントを見つけて、その点を強調できるようなエピソードを選ぶようにしてください。

そのためには、志望先の公式サイトなどで理念を念入りに研究しておくことが大切です。
もし理念を調べてみて共感できる点が少なければ、志望先の変更も検討しましょう。

まとめ

看護観の例文と作り方をお伝えしてきました。

面接で慌てることがないよう、ご自身の看護観をしっかり準備しておいてくださいね。
以下の記事では、看護観以外でよく聞かれる質問や、面接時の注意点を解説していますので、参考にしていただけるとうれしいです。

>看護師の面接の流れ|持ち物・服装・質問と逆質問への対策も

自分の看護観について考えることは、看護師としてのキャリアを見つめ直し、今後どんな働き方をしたいかを決めることにもつながります。
自分らしく働くためにも、看護観を振り返る時間を定期的につくれるといいですね。

もし「今の病院は自分の看護観と合っていない気がする」「もっと自分の看護観を活かせる職場で働きたい」などと悩んだら、まずは「マイナビ看護師」にご相談ください。
業界に精通しているキャリアアドバイザーが、あなたの理想の転職を叶えるお手伝いをいたします。

あなたが看護師としてよりイキイキと働けるよう、「マイナビ看護師」は応援しています!